太陽シリーズ
「太陽って結局“自分らしさ”なの?」
「なぜ太陽が人生の方向性を示すの?」
「心理占星術では太陽をどう読むの?」
占星術を学び始めた人が一番気になるポイント――
それは「太陽の意味」と「読み方の本質」です。
前回の記事では、ヘレニズム占星術において太陽が
外側の中心(王・権威)として位置づけられた背景を見てきました。
今回の記事では、その続きとして、
20世紀以降に発展した心理占星術が
太陽を「内側の光」としてどのように再解釈したのかを整理していきます。
そして実は、現在広く知られている西洋占星術の多くは
この“心理占星術”をベースに成り立っています。
だからこそ現代の占星術では、
- 自分らしさ
- 意志
- 目的
- 人生の方向性
といったキーワードが太陽と自然につながるようになりました。
この記事では、
- なぜ太陽が“人生の中心”と言われるのか?
- 心理占星術が太陽をどう再定義したのか?
- ヘレニズムの太陽とは何が違うのか?
を整理しながら、太陽を読む本質をわかりやすく解説していきます。
心理占星術はどこから始まったのか?鍵を握るのはアラン・レオ

心理占星術の入口をつくったと言われるのが、20世紀初頭の占星術家アラン・レオです。
レオは、それまでの「運命を読む占星術」から一歩進み、星の配置を性格・傾向・心理的テーマとして読むスタイルを提案しました。
社会的な背景があったことも原因としてはあるのですが、
この時代に占星術が
「未来を占うもの」から
「内面を理解するもの」へ
静かに方向転換していったのです。
この変化によって、太陽は社会的な地位や役割ではなく、
「その人がどんな人生を生きたいのか」という主体的な意志と結びつき始めます。
"太陽=自分の中心”
という今の感覚は、レオの再解釈から始まったと言ってよいでしょう。
心理占星術は“心理学という時代背景”から自然に生まれた
心理占星術が広がっていった背景には、心理学の発展があります。
20世紀初頭、心理学は急速に広がり、
- 無意識
- 自我
- 内面の成熟
- 自己実現
といったテーマが、人を理解するための中心になっていきました。
この頃、フロイトやユングが心理学の基礎を築き、“心を扱う学問”が新しい時代として育っていきます。

占星術もこの流れと並走し、
星=運命
から
星=内面
へと読み替えが起こっていきました。
心理占星術は“突然生まれた新理論”ではなく、
内面を見つめたいという時代そのものが生み出した占星術だと考えられます。
ユング心理学がもたらした視点 ― 太陽=Self(本来の自己)
アラン・レオとユングに直接的な交流があった事実は確認されていませんが、
- 無意識を見る
- 象徴で語る
- 個が成熟していく
というテーマが、両者の学問に共通していたことで、自然に交差していきました。
ユングが“象徴”を心理学に導入し、人は自己へ向かって成長する存在だという考え方を打ち出したことで、占星術に「内側の成長」を考える土台ができていきます。
その流れの中で、太陽は
外側から与えられる役割
↓
内側から目覚めていく意志
として再定義されました。
太陽は「外側の中心」から「内側の中心」へ

ヘレニズム占星術では、太陽は
- 王
- 権威
- 社会の中心
- 指導者
といった“外側の中心”として読まれてきました。
太陽が空でいちばん強い光を放つ存在だったことが、そのまま社会的象徴へ重ねられていたのです。
しかし心理占星術に入ると、太陽は外側の評価や地位ではなく、内側にある意志の中心として扱われるようになります。
つまり太陽は、
私が「どう見られるか?」ではなく、
私がどう生きたいのかへと、象徴が大きく方向転換していくのです。
ここで太陽は、社会的な光から、内側に灯る“人生の灯り”へとシフトします。
太陽は“意識化していく光” ― 光が当たるから見えていく
光が当たると見える=気づく
光が広がる=理解が深まる
心理占星術は、この身体感覚を象徴として扱います。
太陽とは、
「私はどんな人生に光を当てたいのか」
という意欲の方向。
太陽は“すでに備わっている性格”ではなく、
これから育てていく中心として語られるようになりました。
心理占星術において太陽のサイン・ハウス・アスペクトが意味すること
太陽を読むときは、3つの方向から見ると理解がしやすくなります。
✔ 太陽のサイン=「どんなやり方で生きたいのか」
太陽のサインは、
その人が人生を動かしていくときの“方法”や“クセ”のようなもの。
たとえば、
- 大胆に挑戦したい
- 人とつながりながら進みたい
- じっくり形にしていきたい
…というような、「太陽の性質」がここに出ます。
“意志の質”より、こう書いた方が伝わります。
✔ 太陽のハウス=「どんな分野で太陽を使いたいのか」
ハウスは太陽の作用する“場所”。
どんな場所や分野で自分を輝かせたいのかがわかります。
たとえば、
- 仕事で光らせるのか
- 対人関係で発揮するのか
- クリエイティブなのか
- 家庭なのか
“人生のどこで太陽を生きようとしているのか”を見る場所です。
✔ 太陽のアスペクト=「その太陽がどんな成長をしていくのか」
アスペクトは太陽が他の天体とどんな影響を与え合っているか。
- スムーズに進みやすいのか
- 葛藤を乗り越えて育つのか
- 別のテーマと混ざり合うのか
太陽がどのようなプロセスで成熟していくのかを見るポイントになります。
太陽サイン・ハウス・アスペクトのポイント
- 太陽のサイン=どう生きたい?(方向性・やり方)
- 太陽のハウス=どこで生きたい?(テーマ・場所)
- 太陽のアスペクト=どう成長する?(プロセス)
太陽を読むことは、
性格を見るのではなく、
人生の方向を理解すること。
太陽は「今の自分」だけではなく、
“これからの人生をどんな光で歩むのか”を静かに示しています。
まとめ ― 太陽は「これから目指す生き方」を示す羅針盤
心理占星術が再定義した太陽は、
- 自我の中心
- 成長の物語
- 意識化
- 自己実現
- 内側の光
というテーマを持っています。
つまり太陽は、
「これからどう生きたいのか」
という未来の意志を照らす象徴。
太陽を“性格”として読むだけでは見えてこなかった、
人生の光の向かう先が立ち上がってきます。
太陽シリーズ